手話の資格を独学で取得したいと考えている方へ、独学で手話の資格を目指す際に役立つポイントや各資格の難易度、必要な学習時間など、具体的な情報を提供しますので、ぜひ参考にしてください。
ポイント
- 手話の資格の種類と特徴
- 各手話資格の取得方法と必要な学習時間
- 資格によっては独学は非常に難しい
- 各手話資格の試験内容と合格率
目次
手話の資格や検定の独学
- 手話の資格一覧
- 手話の資格は独学でとれる?
手話の資格一覧
手話の資格にはさまざまな種類があり、それぞれの資格が求められる技能や取得方法は異なります。今回は、初めて手話の資格について調べる方にもわかりやすく、公的資格から民間資格までの概要を説明します。
手話通訳士(厚生労働省大臣認定)
手話通訳士は、厚生労働省が認定する公的資格です。この資格は、「手話通訳技能認定試験」に合格し、聴力障害者情報文化センターに登録することで得られます。試験は1989年から実施されており、合格率は約10〜20%と非常に低く、難関です。この資格を持つと、政見放送や裁判など特定の場面での手話通訳が可能となりますが、一般的な手話通訳はこの資格がなくても行えます。
手話通訳者(都道府県認定)
手話通訳者は、各都道府県が認定する資格です。主に全国手話研修センターが実施する「手話通訳者全国統一試験」に合格し、その後各都道府県の審査に通ることで認定されます。この資格を取得するためには、手話通訳者養成課程の修了が条件となる場合が多く、養成講座の修了証をもって試験を受験します。合格率は約20%で、手話通訳士よりは取得しやすいですが、それでも難易度は高いです。
手話奉仕員(市町村認定)
手話奉仕員は、市町村が実施する手話奉仕員養成講座を修了することで得られる資格です。この講座は入門課程と基礎課程に分かれており、基礎課程を修了すると市町村に手話奉仕員として登録されます。手話奉仕員はボランティアの一環として手話通訳を行うため、聴覚障害者の生命や権利に関わる通訳業務を担うことは避けられています。
手話技能検定(民間資格)
手話技能検定は、NPO法人手話技能検定協会が実施する民間資格です。この検定は2001年から始まり、1級から7級までのレベル分けがされています。手話技能検定は、手話通訳士や手話通訳者とは異なり、手話の言語としての技能力を測ることが目的です。7級から3級までは筆記試験、2級と1級は実技試験を通じて能力を評価します。受験資格は特になく、誰でも挑戦できるのが特徴です。
全国手話検定(民間資格)
全国手話検定は、社会福祉法人全国手話研修センターが2006年から実施している検定試験です。この検定は、手話を用いたコミュニケーション能力を評価するもので、1級から5級までのレベル分けがあります。3級までは実技試験のみ、1級と2級は筆記試験と実技試験の両方が行われます。こちらも受験資格は特になく、初級から上級まで幅広いレベルの受験が可能です。
最後に
手話の資格は大きく公的資格と民間資格に分けられます。公的資格は仕事やボランティア活動での社会的信頼を得るために、民間資格は自身の手話能力を客観的に評価するために取得されることが多いです。将来的に福祉関係の仕事を目指すなら公的資格を、趣味や興味から始めるなら民間資格が適しているでしょう。どの資格を目指すにしても、それぞれの目的や目標に合わせて選ぶことが大切です。
手話の資格は独学でとれる?
手話を学びたいと考えている方や、手話の資格取得を目指している方にとって、独学での勉強方法が気になるところです。この記事では、手話の資格を独学で取得できるかどうかについて解説します。
手話通訳士(厚生労働省認定)
手話通訳士は、厚生労働省が認定する公的資格で、最も難易度が高い資格です。この資格を取得するためには、手話通訳技能認定試験に合格し、聴力障害者情報文化センターに登録する必要があります。
試験内容:
- 学科試験:障害者福祉の基礎知識、聴覚障害に関する基礎知識、手話通訳のあり方、国語
- 実技試験:聞取り通訳(音声による出題を手話で解答)、読取り通訳(手話による出題を音声で解答)
独学の難易度: 手話通訳士の試験は非常に難易度が高く、合格率も約10%と低いため、独学だけで合格するのはかなり厳しいです。特に実技試験では、手話の正確性や表現力が問われるため、実際の手話通訳経験が重要です。独学だけでなく、手話サークルや手話教室に通うことを強くおすすめします。
手話通訳者(都道府県認定)
手話通訳者は、各都道府県が認定する資格です。全国手話研修センターが実施する手話通訳者全国統一試験に合格し、都道府県の審査を通ることで認定されます。
試験内容:
- 学科試験:手話通訳の基礎知識、聴覚障害に関する知識
- 実技試験:手話通訳の実技
独学の難易度: 手話通訳者の試験も難易度は高いですが、手話通訳士ほどではありません。独学での勉強も可能ですが、実技試験に備えるためには手話サークルや実際の手話使用環境での練習が必要です。
手話奉仕員(市町村認定)
手話奉仕員は、市町村が実施する手話奉仕員養成講座を修了することで得られる資格です。ボランティアとして手話を使うことが主な役割です。
養成講座内容:
- 入門課程:基礎的な手話の学習
- 基礎課程:手話を使った簡単な会話の練習
独学の難易度: 手話奉仕員は比較的取得しやすい資格です。独学で手話の基礎を学び、市町村の養成講座を受けることで取得できます。入門課程と基礎課程をしっかり学べば、独学でも十分に対応可能です。
手話技能検定(民間資格)
手話技能検定は、NPO法人手話技能検定協会が実施する民間資格です。7級から1級まであり、自分の手話能力を測ることができます。
試験内容:
- 7級から5級:筆記試験(指文字や基本的な手話表現)
- 4級から1級:実技試験(手話での会話や表現)
独学の難易度: 手話技能検定は独学でも十分に合格を目指せます。特に7級から3級までは独学での対策がしやすいです。インターネット上の手話動画や参考書を利用して学ぶことが可能です。ただし、2級以上は実技試験が中心となるため、手話サークルでの練習や実践的な学習が推奨されます。
全国手話検定(民間資格)
全国手話検定は、社会福祉法人全国手話研修センターが実施する民間資格で、手話によるコミュニケーション能力を測ることが目的です。5級から1級までのレベルがあります。
試験内容:
- 5級から3級:実技試験(手話での簡単な会話)
- 2級から1級:実技試験および筆記試験
独学の難易度: 全国手話検定も独学での対策が可能です。5級から3級までは独学での合格が目指せます。2級以上の実技試験では、手話サークルや手話教室での練習が役立ちます。独学の教材として、手話辞典や手話の動画教材、オンライン手話講座などを利用すると良いでしょう。
独学で手話を学ぶためのポイント
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教材の選定:
- 手話辞典や手話の入門書を購入し、基礎から学びます。
- YouTubeなどの無料動画を活用し、手話の動きを確認します。
-
実践練習:
- 手話サークルや地域の手話教室に参加して、実際に手話を使ってみましょう。
- 聴覚障害者の方々との交流イベントに参加して、実践的な経験を積むことが大切です。
-
試験対策:
- 試験の過去問や模擬試験を解き、試験形式に慣れます。
- 実技試験に備えて、手話でのスピーチや会話の練習を繰り返します。
まとめ
手話の資格は、独学でも取得が可能ですが、資格の種類や難易度によって必要な準備や対策が異なります。独学だけでなく、手話サークルや教室での実践練習も取り入れながら、効率的に学んでいくことが重要です。興味がある方は、ぜひ手話の勉強を始めてみてください。
手話の資格や検定の独学:その補足事項
- 手話通訳士の資格を取るのに何年かかるのか
- 手話技能検定はどれくらいで取れる?
- 手話の資格や検定の独学:まとめ
手話通訳士の資格を取るのに何年かかるのか
手話通訳士の資格を取るにはどのくらいの時間がかかるのでしょうか?手話通訳士は、聴覚障害者と健常者の間でコミュニケーションを円滑にするために重要な役割を果たします。この資格を取得するためのプロセスについて、具体的に解説します。
手話通訳士になるためのステップ
手話通訳士になるためには、以下の主要なステップを踏む必要があります:
- 基礎学習:手話の基礎を学ぶ
- 実践経験:手話を実際に使う経験を積む
- 試験合格:手話通訳技能認定試験に合格する
これらのステップを経るのにかかる期間について詳しく見ていきましょう。
必要な年数
手話通訳士の資格取得には、一般的に4〜5年の期間が必要とされています。この期間は、手話の基礎学習、実践経験の積み重ね、そして試験対策に充てる時間を含みます。
基礎学習(1〜2年)
まず、手話の基礎を学ぶための時間が必要です。手話の基礎を学ぶには、手話教室や通信講座を利用することが一般的です。基礎学習の期間は通常1〜2年程度です。この期間には、手話の基本的な単語や文法を学びます。また、独学での学習も可能ですが、実際の会話を通じて練習するために手話サークルに参加することをおすすめします。
実践経験(2〜3年)
手話の基礎を学んだ後は、実践経験を積むことが重要です。実際に手話を使う環境での経験が、手話通訳士としてのスキル向上に不可欠です。ボランティア活動や手話サークルでの活動を通じて、実際に手話を使ってコミュニケーションを取る機会を増やしましょう。この実践経験には2〜3年程度の期間が必要です。
試験対策(1年)
手話通訳士の資格試験である手話通訳技能認定試験に合格するためには、さらに1年程度の試験対策が必要です。試験には学科試験と実技試験があり、学科試験では障害者福祉の基礎知識や手話通訳のあり方、国語などが問われます。実技試験では、手話によるコミュニケーション能力が評価されます。
学校と独学
手話通訳士の資格を取得するためには、学校に通う方法と独学で学ぶ方法があります。
学校に通う場合
手話通訳士を目指す専門学校や養成機関では、2〜4年のプログラムが提供されています。これらのプログラムでは、手話の基礎から応用までを体系的に学び、実践的な訓練も受けることができます。専門学校に通うことで、効率的に学習でき、試験対策も万全に行うことができます。
独学の場合
独学でも手話通訳士の資格を取得することは可能ですが、時間がかかる傾向があります。独学での学習には、手話の教材やオンライン講座を利用し、自分のペースで学習を進める必要があります。また、実際の手話を使う機会を増やすために、手話サークルやボランティア活動に積極的に参加することが重要です。
試験内容と合格率
手話通訳士の資格試験は難易度が高く、合格率は10%〜20%程度です。以下に試験の内容をまとめます。
学科試験
- 障害者福祉の基礎知識
- 聴覚障害者に関する基礎知識
- 手話通訳のあり方
- 国語
実技試験
- 聞き取り通訳試験:音声による出題を手話で解答
- 読取り通訳試験:手話による出題を音声で解答
試験に合格するためには、学科と実技の両方で高いレベルの知識と技術が求められます。
手話通訳士としてのキャリアパス
資格を取得した後、手話通訳士としてのキャリアを築くには、さまざまな選択肢があります。以下に主な就職先と仕事内容を紹介します。
就職先
- 障害者支援施設
- 福祉関係施設
- 企業の手話通訳部門
- 医療機関
- 手話通訳派遣センター
仕事内容
手話通訳士は、聴覚障害者と健常者のコミュニケーションを支援する役割を担います。具体的な仕事内容は以下の通りです。
- 医療機関での通訳
- 法廷での通訳
- 教育現場でのサポート
- 企業でのビジネス通訳
まとめ
手話通訳士の資格を取得するには、基礎学習から実践経験、そして試験対策まで、総じて4〜5年の期間が必要です。資格取得後は、さまざまな分野で活躍することができ、聴覚障害者と健常者の架け橋となる重要な役割を果たすことができます。資格取得の道のりは長いですが、その分多くのやりがいや社会貢献が待っています。興味のある方は、ぜひ手話通訳士の資格取得に挑戦してみてください。
手話技能検定はどれくらいで取れる?
手話を学び始めたばかりの方や、既に手話を使っている方が、自分の手話の能力を測るために有効なのが「手話技能検定」です。手話技能検定は、手話の習得度合いを示すための試験であり、級ごとにそのレベルが設定されています。この記事では、手話技能検定の概要や各級の難易度、学習に必要な時間について詳しく解説します。
手話技能検定とは?
手話技能検定は、手話を学習している人や手話を仕事で使っている人を対象に、その技能を測るための試験です。この試験は、手話をどれくらい使いこなせるようになったかを評価するもので、全国共通の基準に基づいて行われます。手話技能検定は、手話通訳試験とは異なり、通訳としての技能ではなく、手話そのものの言語能力を評価する試験です。
手話技能検定の級とレベル
手話技能検定は1級から7級まであり、それぞれの級には異なるレベルの目安が設定されています。
1級
- 検定方法:実技試験
- 単語数・例文数:制限なし
- 学習時間の目安:3年(240時間)以上
- レベルの概要:高度で具体的な会話が手話で自由にできる。日常生活や業務上の様々な場面で手話を使いこなせる。
2級
- 検定方法:実技試験
- 単語数:2000程度
- 学習時間の目安:3年(240時間)程度
- レベルの概要:病院や学校などの日常生活や業務上必要とされる具体的な会話が手話で自由にできる。専門分野を含む単語を読み取ったり表現したりすることができる。
3級
- 検定方法:筆記試験
- 単語数:1000程度
- 基本例文数:300程度
- 学習時間の目安:2年(160時間)程度
- レベルの概要:接客に必要な具体的な会話や手話での道案内、会社や学校、手話サークルなどでの会話ができる。
4級
- 検定方法:筆記試験
- 単語数:500程度
- 基本例文数:100程度
- 学習時間の目安:1年(80時間)程度
- レベルの概要:お店や窓口での簡単な接客の会話や日付や時刻、金額などの表現ができる。
5級
- 検定方法:筆記試験
- 単語数:200程度
- 基本例文数:30程度
- 学習時間の目安:6ヶ月(40時間)程度
- レベルの概要:挨拶、自己紹介、趣味についての質問や回答ができる。
6級
- 検定方法:筆記試験
- 単語数:100程度
- 学習時間の目安:3ヶ月(24時間)程度
- レベルの概要:簡単な挨拶や濁音や半濁音・長音・拗音などを含む指文字、千の位までの数字、日常よく使われる単語の表現や読み取りができる。
7級
- 検定方法:筆記試験
- 単語数:基本指文字50音
- 学習時間の目安:1ヶ月(8時間)程度
- レベルの概要:指文字の基本形を覚え、ゆっくり表現し、読み取ることができる。ただし濁音、半濁音などは含まない。
手話技能検定の受験形態
手話技能検定は、受験日や受験人数によって様々な形態で実施されています。自分に合ったスタイルで受験することが可能です。
会場試験
- 個人受験:3~6級が対象で、年2回実施。指定された会場で受験。
- グループ申込:5名以上のグループで、3~6級が対象。受験票や結果通知を一括で発送可能。
- 特別会場:10名以上のグループで、3~6級が対象。指定会場ではなく任意の会場で受験可能。
在宅試験
- 個人受験:7級のみ。いつでも自宅で受験可能。
オンライン試験
- 個人受験:3~6級が対象で、年2回実施。インターネットを利用して受験。
- 個人受験:1・2級が対象で、年2回実施。自宅で表現したデータを送付。
任意日程試験
- 集団受験:5名以上のグループで、3~7級が対象。任意の日程・会場で受験可能。
まとめ
手話技能検定は、手話の学習者や実務者にとって、自分の手話能力を客観的に評価するための有効な手段です。各級ごとに求められるレベルや学習時間が異なり、自分の目標や学習進度に合わせて受験することができます。手話の習得は一朝一夕にはいきませんが、継続的に学習し、検定を受けることで着実にスキルを向上させることができます。手話技能検定を活用して、手話のスキルアップを目指しましょう。
参考
手話の資格や検定の独学:まとめ
- 手話通訳士は厚生労働省認定の公的資格であり、合格率は約10〜20%
- 手話通訳士の試験は学科試験と実技試験がある
- 手話通訳者は都道府県認定の資格であり、全国手話研修センターが試験を実施する
- 手話通訳者の合格率は約20%であり、手話通訳士より取得しやすい
- 手話奉仕員は市町村認定の資格であり、ボランティア活動が主な役割
- 手話技能検定は民間資格であり、1級から7級までのレベルがある
- 全国手話検定はコミュニケーション能力を評価する民間資格であり、1級から5級まである
- 手話技能検定は筆記試験と実技試験がある
- 全国手話検定は実技試験が中心で、上級レベルには筆記試験もある
- 手話通訳士の資格取得には4〜5年かかることが一般的
- 手話通訳士の資格取得には基礎学習、実践経験、試験対策が必要
- 手話通訳士の実技試験は正確性と表現力が重要である
- 手話技能検定は独学で取得可能であり、特に7級から3級までは独学で対策しやすい
- 手話奉仕員は市町村の養成講座を修了することで取得できる
- 独学での手話学習には手話サークルや教室での実践練習が役立つ